


- 視覚:グラニュー糖より一回り細かく、サラサラした「砂浜の乾いた砂」。
- 触覚:指でつまんでザラつくが、指紋の溝に粉が残らない。
- ミルの現実:安価なプロペラ式は「微粉」の温床。サイフォンにはステンレス刃一択!

【Project 369】
サイフォンに「中細挽き」が選ばれる、あまりに過酷な科学的理由
なぜサイフォンには「中細」が最適解とされるのか。それはサイフォン特有の「高温浸漬(こうおんしんし)」という、ドリップとは正反対の抽出構造に秘密があります。
ドリップはお湯が通り抜ける「透過法」ですが、サイフォンはお湯が上ボールに一定時間滞留し、豆を煮出すように成分を引き出す「浸漬法」です。もしここで、一般的な「中挽き」を使うと、スカスカで水っぽい、ただ苦いだけのお湯のようなコーヒーになります。
逆に「細挽き」にするとどうなるか。90度を超える高温のお湯と相まって、豆の『嫌な部分(雑味・渋み・エグみ)』までが、爆発的に溶け出してしまうのです。このバランスの境界線こそが、中細挽きなのです。
実は、挽き目以上に恐ろしいのが「微粉(細かすぎる粉)」の混入です。安価なミルやプロペラ式ミルで挽くと、大きな粒と粉状の粒が混在します。この粉状の粒(微粉)は、サイフォンの高温お湯に触れた瞬間に過剰抽出され、強烈な苦味を発生させます。さらに、この微粉がネルフィルターの繊維に突き刺さり、抽出の最後にお湯が下に落ちなくなる「目詰まり事故」を引き起こすのです。
【徹底検証】主要ミル別・サイフォン最適クリック数ガイド
「中細」という曖昧な言葉に逃げず、具体的な設定値を提示します。検証の結果、サイフォン特有の透明感とコクを両立させた設定です。
1. ハリオ スマートG Pro

サイフォン愛好家の登竜門にして、到達点。ステンレス刃の鋭い切れ味は、豆を「潰す」のではなく「切る」ため、微粉を劇的に抑えられます。推奨:9クリック(±1)。浅煎りなら「8」、深煎りなら「10」がベストバランスです。
なぜ「ステンレス刃」でなければならないのか?
多くの初心者が失敗するのは、安価なセラミック刃のミルを選んでしまうからです。セラミック刃は摩耗に強い反面、豆をすり潰すような構造のため、微粉が出やすい性質があります。サイフォンのように高温でお湯に浸す淹れ方では、この「断面のガタつき」がそのまま雑味の多さに繋がります。1万円以下のミルを選ぶ際も、必ず『ステンレス刃』であることを確認してください。これだけで、あなたのサイフォンの味は2段階アップします。
2. タイムモア C3 Pro

世界中のバリスタを唸らせた異常なまでの均一性。軸のブレが一切ないため、全ての粉が同じ大きさで揃います。これにより、火を消した後の「落とし込み」が驚くほど速く、最後の一滴まで濁りのない抽出を実現します。推奨:14クリック
【マニアの視点】豆の状態に合わせて「挽き目」を飼い慣らす
プロは豆の焙煎度を見て、クリック数を微調整しています。この感覚を身につけることが、初心者脱出の鍵となります。
浅煎り豆:少しだけ「細かく」寄せる
浅煎り豆は成分が溶け出しにくいため、通常の「中細」よりほんの1クリック分だけ細かくすることで、フルーティーな酸味を最大限に引き出せます。
深煎り豆:少しだけ「粗く」寄せる
逆に深煎り豆は苦味が出やすいため、半クリック〜1クリック分だけ粗めに振ることで、後味がスーッと消える『美しいサイフォンコーヒー』に仕上がります。
3. カリタ ナイスカットG

朝の準備を劇的に楽にする最高峰の電動ミル。粒度の安定感は一生モノの価値があり、どんな豆でもスイッチ一つで最高の中細挽きを提供してくれます。推奨:3.5〜4.0
五感で覚える「至高の中細挽き」見極めルーティン
見た目は「砂浜の砂」、手触りは「ザラッとするけど指の指紋に残らない」。そして挽く時の「サクッ」という快音。この五感の情報を統合して、あなたの正解を掴み取ってください。
- 今の挽き目を確認:指でつまんで、指紋に残るかチェックする。
- 基準を固定する:まずはミルの推奨クリック数に合わせる。
- 道具に頼る:味がブレるなら、ステンレス刃の高性能ミルを検討する。