
EC-MA60は、象印の「珈琲通」シリーズのドリップ式コーヒーメーカーです。基本は「粉を入れて、水を入れて、スイッチを入れる」だけ。そのうえで、濃さを2段階から選べて、水道水のカルキ臭を減らす浄水フィルターが付いています。


3秒でわかる結論
- 向いている人:濃さを「ふつう」と「こい」の2段階で切り替えたい人。1〜6杯(コーヒーカップ)まで作れる。
- 向かない人:洗い物を食洗機に任せたい人。取扱説明書で食器洗い乾燥機・食器乾燥器の使用が禁止されている(p.11)。
- 見落としやすい費用:浄水フィルターは消耗品で、1日1回の使用で約2年に1回の交換が目安(p.12)。
- 保温は15分くらいまで。ゆっくり飲む人はポットに移すなどの工夫が要る(p.10)。
今回は実機レビューではなく、コーヒー器具を100以上試してきた専門家としての分析・解説です。ページ番号は、EC-MA60型の取扱説明書の印刷ページに合わせています。
象印 EC-MA60の基本仕様
| 型名 | EC-MA60(珈琲通) |
|---|---|
| 方式 | ドリップ式 |
| 最大使用水量 | 810mL |
| できあがり量の目安 | コーヒーカップ1杯約120mL、マグカップ1杯約180mL、アイスコーヒー1杯約60mL(p.6) |
| 消費電力 | 650W(交流100V、50/60Hz) |
| 外形寸法 | 幅約23×奥行約15.5×高さ約28cm(ガラス容器のとっ手を除く) |
| 質量 | 約1.7kg |
| コードの長さ | 1.3m(ゴムコード) |
| 付属品 | 計量スプーン(すり切り1杯約8g) |
| ペーパーフィルター | 市販の「1×2」(2〜4杯用)または「102」(2〜4人用)(p.6) |
| 保証 | お買い上げ日より本体1年(p.1) |
仕様はp.14、付属品と寸法の補足はp.6に載っています。奥行は約15.5cmです。購入前に、置く棚の奥行と高さ(約28cm)を測っておくと安心です。
EC-MA60の特徴を取扱説明書で確認する
濃さは「ふつう」と「こい」の2段階
濃度調節レバーで、ふつう(レギュラー)とこい(ストロング)の2段階を選べます(p.5)。レバーを「▼」に合わせるのがルールで、ドリップの途中で止めないよう注意書きがあります。細かい濃度の調整ではなく、2択の切り替えです。
浄水フィルターが標準で付く
本体には、繊維状の活性炭入りの浄水フィルターが付いています。沸とうした湯を通し、カルキ臭を減らすためのものです(p.5)。使い始めに出る黒い粉は浄水用の活性炭で、無害なので使用上差しつかえない、と説明されています(p.6)。
この浄水フィルターは消耗品です。水質や使い方で違いますが、1日1回の使用で約2年に1回が交換の目安(p.12)。部品番号はEC-F03-Jで、保証期間内でも有料です(p.14、p.15)。
しずくもれ防止機構
ガラス容器を本体から取りはずしても、コーヒーのしずくがフィルターケースから漏れないようにする仕組みです(p.5)。ただし、ガラス容器を載せるときは、しずくもれ防止弁に無理な力を加えないよう静かに載せるように、と書かれています(p.10)。
ドリップにかかる時間の目安
取扱説明書には「できあがり時間の目安」が載っています(水温・室温20℃の場合、p.10)。
| 杯数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| コーヒーカップ | 3.5分 | 4.5分 | 5.5分 | 7分 | 8.5分 | 9.5分 |
| マグカップ | 4分 | 5.5分 | 8分 | 9.5分 | – | – |
水量・室温・粉の量でかわる、という注記つきです。マグカップは最大4杯までです。


使い方の流れ(取扱説明書p.9〜10)
標準使用量
| カップ数 | コーヒーカップ(粉の量) | マグカップ(粉の量) |
|---|---|---|
| 1 | 1杯(約8g) | 1½杯(約12g) |
| 2 | 2杯(約16g) | 3杯(約24g) |
| 3 | 3杯(約24g) | 4杯(約32g) |
| 4 | 3½杯(約28g) | 5½杯(約44g) |
| 5 | 4½杯(約36g) | – |
| 6 | 5½杯(約44g) | – |
杯数はすべて、計量スプーンのすり切り換算です。細挽き粉は使わないこと、計量スプーンの5½杯(約44g)を超える量を入れないことが、注意書きにあります(p.4)。
6つの手順
- スイングバスケットを開け、フィルターケースにペーパーフィルターを付け、粉を入れて濃さを設定する
- 水タンクに、作りたい量の目盛りまで水を入れる(MAXを超えない)
- 水タンクとガラス容器を本体に取りつける。ガラス容器には必ずふたを付ける
- スイッチを入れる
- ドリップが終わったらスイッチを「切」にする
- フィルターケースからコーヒーが出なくなってから、ガラス容器を取り出して注ぐ
ドリップ中に水をつぎ足さない、ドリップ中にガラス容器を外さない、が共通の注意点です(p.3、p.9)。熱湯は水タンクに入れないでください(p.9)。
アイスコーヒーは2〜6カップで作る
粉の量は、コーヒーカップの標準使用量と同じです。水量は水タンクの「ICE」の目盛りに合わせ、できたてをたっぷりの氷を入れたグラスに注いで冷やします(p.10)。1杯だけのアイスコーヒーは作れず、2〜6カップで作る決まりです。
気になる点とデメリット

食洗機が使えない
取扱説明書のお手入れの項に、食器洗い乾燥機・食器乾燥器は使用しないでください(部品変形の原因)と明記されています(p.11)。ガラス容器もスイングバスケットも、手洗いが前提です。
毎回のお手入れ項目が多め
「ご使用ごとに必ずお手入れしてください」と書かれています(p.11)。部品ごとの手順は次のとおりです(p.12)。
| 部品 | お手入れ |
|---|---|
| 本体・保温板 | 薄めた台所用中性洗剤を含ませて固く絞った布でふく。水を含ませた布でふき、乾いた布でふき取る |
| 浄水フィルター | 水で流し洗いして、よく乾燥。分解しない。洗剤は使わない |
| 水タンク、水タンクふた、スイングバスケット、ガラス容器、ガラス容器ふた | 薄めた台所用中性洗剤とスポンジで洗い、水洗い。水気は十分に切る |
| フィルターケース | 洗剤で洗って水洗い。中に水を入れ、しずくもれ防止弁を2〜3回動かして汚れを流す。毎回洗う |
| コード・差込みプラグ | 乾いた柔らかい布でふく |
フィルターケースのしずくもれ防止弁は、粉が詰まると弁が閉まらずコーヒーが漏れることがあるため、毎回洗うよう指示されています(p.12)。洗い忘れが漏れにつながる部品なので、毎日のお手入れに組み込む必要があります。
クエン酸洗浄は約3か月に1回
水のミネラル分が水管に付くと、湯の出が悪くなったり、浄水フィルターが目詰まりしやすくなったりします。その対策として、クエン酸洗浄が約3か月に1回の目安で案内されています(p.13)。専用のパイプ洗浄用クエン酸(コーヒーメーカークリーナー、6g×5包入り)も別売りで案内されています(p.14)。
ミネラルウォーターの注意
硬度200以上のものは使用しないこと。使うなら、できるだけ硬度100以下のものを、と書かれています(p.4)。水に気をつけたい人は、事前に確認しておきましょう。
保温は15分くらいまで
保温を続けるときは、スイッチを入れたままガラス容器にふたをして保温します。ただし長時間の保温は香りがぬけて風味が悪くなるため、保温時間は15分くらいまで(p.10)。じっくり飲むなら、保温ポットに移す前提で考えるのが無難です。
専門家の一言
毎朝使うものは、洗う部品の数が使い続けやすさを左右します。購入前に、お手入れの表を一度見ておくと安心です。
こんな人には向いている・向いていない
向いている人
- 濃さを2段階で切り替えたい人
- 浄水フィルター付きで、水道水のカルキ臭を減らしたい人
- 置き場所の奥行が浅い人(約15.5cm)
- 手洗いのお手入れが苦にならない人
向いていない人
- 食洗機で洗いたい人
- 1杯だけのアイスコーヒーを作りたい人(2〜6カップ)
- 長い時間、保温しておきたい人(15分くらいまで)
よくある質問
連続して淹れるときは?
スイッチを「切」にして、本体を5分以上冷ましてから次の1回目の手順に進みます。本体が熱いうちに給水したり動かしたりしないこと、と注意されています(p.10)。
初めて使うときは?
浄水フィルター、ガラス容器、フィルターケースなどを洗い、水だけで1〜2回ドリップして本体内部を洗浄します(p.6)。使いはじめはプラスチックのにおいがすることがありますが、使ううちに少なくなる、と書かれています(p.6)。
ペーパーフィルターは何を買えばいい?
市販の「1×2」(2〜4杯用)または「102」(2〜4人用)です。2枚以上重ねて使わないこと、フィルターケースからはみ出さないように折り幅を調節することも注意されています(p.6)。
湯が出ない・出にくいときは?
水タンクに水が入っているか、水タンクが正しく取りつけられているかを確認します。本体内部の水管にミネラル分が付くと湯の出が悪くなるため、クエン酸洗浄を行ってください(p.13)。
部品は買い足せますか?
浄水フィルター(EC-F03-J)、ガラス容器(JAGECMA-△△)、計量スプーン(BG872010L-01)が、部品として案内されています(p.14)。補修用性能部品の保有期間は、製造打ち切り後5年間です(p.15)。
他の1万円以下の機種と比べる
象印 EC-MA60を、アイリスオーヤマ、メリタ、タイガーの3機種と並べて、洗いやすさ・淹れ方・サイズで比べた記事があります。食洗機が使えるかどうか、置き場所に合うかを見比べたい人は、先にこちらを確認してください。
1万円以下のドリップ式コーヒーメーカー4機種を公式情報で比較した記事
各ショップの最新価格を確認する
実売価格は店舗や時期で変わります。購入前に、各ショップの現在価格と在庫を確認してください。
まとめ:象印 EC-MA60は「濃さを選べる、手洗い前提の入門機」
2段階の濃さ調整と浄水フィルター付き。その一方で、食洗機は使えず、フィルターケースの弁は毎回洗う。取扱説明書を読む限り、これが答えです。手洗いが苦でなければ、検討する価値があります。

出典
- 象印マホービン:EC-MA60型 取扱説明書(安全上のご注意p.2〜4、各部のなまえp.5〜6、使い方p.9〜10、お手入れp.11〜13、仕様p.14)
