


- 衝撃の事実:味と微粉の量は、ダイソーもボダムも「完全に互角」だった
- スペック差:ボダムは「ほうけい酸ガラス」と「専用スプーン付属」が大きな強み
- 結論:コスパならダイソー一択。だが「所有欲」と「長く使う安心感」ならボダムを買うべき
正直に告白します。私はこれまで「ダイソーのフレンチプレスなんて、所詮は100均クオリティの安かろう悪かろうだ」と高を括っていました。スターバックスでも採用されているフレンチプレスの代名詞「ボダム(bodum)」と比較すれば、味のクリアさや雑味の少なさで圧倒的な差がつくと確信していたのです。しかし、実際に同じ豆、同じ湯量、同じ時間で抽出し、ブラインドテストに近い状態で飲み比べてみた結果、その予想は良い意味で完全に裏切られることになりました。
なんと、プロである私自身でも「どちらが高級機か区別がつかない」ほど、味と香りのクオリティが互角だったのです。「550円(税込)」のダイソーと、「3,146円(税込)」のボダム。約6倍もの価格差があるにもかかわらず、抽出されるコーヒー液そのものには、驚くべきことに差がありませんでした。もしあなたが「安い器具だから不味いコーヒーしか淹れられない」と躊躇しているなら、それは大きな誤解です。
では、なぜ多くのコーヒー愛好家は、わざわざ高いボダムを選ぶのでしょうか?実は、味以外の部分――すなわち「材質の信頼性」「使い勝手を左右する付属品」「所有する喜び」といった点に、価格差の秘密が隠されていました。今回は、実際に2つの機種を使い倒して分かった「リアルな検証結果」と、それぞれの器具が持つ「本当の価値」について、包み隠さず徹底解説します。
【実機比較】ダイソー フレンチプレスとボダムの違いは?5倍の価格差をスペックで検証

【Project 369】
左がボダム(3,146円)右がダイソー(550円)。パッと見のデザインやサイズ感は非常によく似ている。
まずは、両者のカタログスペックと、実機を触って分かった物理的な違いを比較します。以下の表をご覧ください。
| 項目 | ボダム(BRAZIL) | ダイソー |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 3,146円 | 550円 |
| 価格差 | 約5.7倍 | 基準 |
| 製造国 | ポルトガル | 中国 |
| ビーカー材質 | ほうけい酸ガラス | 耐熱ガラス |
| フィルター | ステン、樹脂、GF | ステン、PP |
| 付属品 | 専用スクープ | なし |
ガラスの材質と耐久性の決定的な差
価格差の最も大きな要因は、心臓部とも言える「ガラスビーカーの材質」にあります。ボダムが採用しているのは、理化学実験用のビーカーなどにも使われる高品質な「ほうけい酸ガラス」です。これは単なる耐熱ガラスとは異なり、熱膨張率が極めて低いため、急激な温度変化に強く、簡単には割れないという信頼性があります。実際に手に持ってみると、ボダムのガラスは厚みがあり、しっかりとした重量感を感じます。長年世界中で愛されてきたブランドだけあり、毎日使う道具としての「安心感」は別格です。
一方のダイソー製品は、一般的な「耐熱ガラス」を採用しています。もちろん、熱湯を注ぐこと自体には何の問題もありませんし、通常使用の範囲では十分に機能します。しかし、実機を触り比べると、明らかにガラスの厚みが薄く、どこか儚さを感じてしまうのも事実です。例えば、洗っている最中にシンクのカランに「コツン」と当ててしまった場合、ボダムなら無傷で済む場面でも、ダイソー製はヒビが入ってしまうリスクが高いと感じました。550円という安さを実現するためのコストカットが、この耐久性の部分に現れていると言えます。
確かに、「割れたらまた500円で買い直せばいい」という考え方もあるでしょう。しかし、愛着を持って一つの道具を長く使い続けたい人や、割れるリスクを極力減らしたい人にとっては、初期投資として2,500円多く払ってでも、ボダムの「ほうけい酸ガラス」を選ぶ価値は十分にあります。毎日使う道具だからこそ、ふとした瞬間の破損リスクにおびえずに済む精神的なメリットは、実は非常に大きいのです。
意外な事実!フレーム素材とフィルター構造の秘密

【Project 369】
フィルター構造の比較。左のボダムはより複雑なパーツ構成だが、基本的なメッシュの細かさは肉眼では大差ない。
次に注目したいのが、ビーカーを支える「フレーム(枠)」と、コーヒーを濾す「フィルター」の構造です。ここで一つ、多くの人が勘違いしている意外な事実をお伝えしましょう。実は、ボダムの主力モデルである「BRAZIL(ブラジル)」の黒いフレーム部分は、金属ではなく「ポリプロピレン(樹脂)」で作られています。パッと見の重厚感から金属製だと思われがちですが、素材としてはダイソーのフレームと同じ樹脂製なのです。
「なんだ、ボダムもプラスチックなのか」とがっかりしたかもしれません。しかし、同じ樹脂でもその質感には大きな差があります。ボダムのフィルターパーツの一部には、強度を高めるために「グラスファイバー」が配合されており、手に取ったときの剛性やパーツ同士の噛み合わせの精度が非常に高いのです。対してダイソーは、一般的なポリプロピレン製で、プランジャーを押し下げる際の摩擦感や、分解洗浄時のネジの回し心地に、若干のチープさを感じることは否めません。
しかし、ここで重要なのは「抽出機能としての差」です。写真をご覧いただくと分かりますが、ステンレスメッシュの目の細かさに関しては、肉眼で見る限り両者に大きな違いはありませんでした。ダイソーのフィルターも、500円とは思えないほどしっかりとした作りをしており、パッキンの役割を果たすスプリングもしっかり機能しています。「高いからフィルターが超高性能」「安いからスカスカ」という単純な図式ではないことが、実機比較で明らかになりました。
決定的な違いは「所有欲」と「付属品」にある

【Project 369】
ボダムには「bodum」のロゴが入った専用スクープが付属。これがあるだけで計量が劇的に楽になるし、コレクター心をくすぐる(^^)。
スペック比較の最後に、地味ながらも見逃せない「付属品」について触れておきます。ボダムのフレンチプレスには、パッケージの中に必ず「bodumロゴ入りの専用計量スクープ」が同梱されています。これは、すり切り一杯で約10gのコーヒー豆を計量できる優れもので、スケール(秤)を持っていない初心者にとっては、これ一つで毎回安定した味を再現できる「最強の武器」となります。
一方、ダイソー製品には付属品は一切ありません。本体のみです。もちろん、自宅にある計量スプーンで代用すれば済む話ですが、専用の道具が付いてくるという「おもてなし」と、箱を開けた瞬間のワクワク感には雲泥の差があります。「ボダムを使っている」という所有欲や、キッチンに置いたときの佇まいの美しさは、やはりオリジナルブランドならではの特権です。
つまり、ダイソーは「コーヒーを淹れる機能」だけを極限まで安く切り出した製品であり、ボダムは「コーヒーを淹れる体験と時間」をパッケージングした製品だと言えます。この2,500円の価格差は、単なる原価の違いだけでなく、ブランドが提供する「安心」と「満足感」への対価なのです。これを無駄と捉えるか、必要経費と捉えるかが、どちらを選ぶかの分かれ道になります。
味と微粉に違いはある?ダイソー フレンチプレスと3,000円の高級機を飲み比べ検証

【Project 369】
同じ豆、同じお湯、同じ時間で抽出。お湯を注いだ瞬間の香りの立ち上がりにも差は感じられない。
さて、ここからがいよいよ本題です。スペックの違いはあれど、肝心なのは「美味しいコーヒーが淹れられるかどうか」です。今回は、以下の条件で厳密な飲み比べを行いました。
- コーヒー豆:中煎りのスペシャルティコーヒー(ブラジル)
- 挽き目:粗挽き
- レシピ:豆15gに対してお湯300ml、抽出時間は4分
- 条件:2つのサーバーに同時に注ぎ、同じカップで試飲
同じ豆とレシピで抽出した味の感想
結論から申し上げます。味の違いは、全くと言っていいほど分かりませんでした。 ダイソーで淹れたコーヒーも、ボダムで淹れたコーヒーも、フレンチプレス特有の「コーヒーオイル(油分)」がしっかりと抽出されており、口に含んだ瞬間のまろやかさ、鼻に抜ける豆の甘い香り、そして飲みごたえのあるコク、そのすべてが共通していました。
これは考えてみれば当然のことかもしれません。フレンチプレスの抽出原理は、「お湯に粉を浸して待つだけ」という非常にシンプルなものです。ドリップコーヒーのように注ぎ方でお湯の勢いが変わることもなければ、フィルターの紙質で味が変わることもありません。ビーカーがお湯と粉を保持し、最後に金属フィルターで濾すだけ。この物理的なプロセスが変わらない限り、容器が500円だろうが3,000円だろうが、抽出される液体の成分に変化は起きようがないのです。
「安いから雑味が出るのでは?」という懸念もありましたが、それも杞憂に終わりました。雑味の原因は主に「豆の品質」や「微粉の量」、あるいは「酸化した油汚れ」にあります。新品の状態で、適切に粗挽きにした豆を使えば、ダイソーのフレンチプレスでも驚くほどクリーンで、豆本来のキャラクターをダイレクトに感じる美味しい一杯が出来上がりました。この検証結果は、良い意味で私のプロとしての先入観を完全に破壊してくれました。
気になる「微粉」の量は?驚きの検証結果

【Project 369】
抽出されたコーヒー液の色味も全く同じ。飲み干した後のカップ底に残る微粉の量も、驚くほど差がなかった。
味は互角でも、フィルターの精度による「微粉の混入量」には差が出るはずだ。私はそう予想していました。フレンチプレスは金属フィルターの構造上、どうしても細かいコーヒーの粉がカップに入り込み、飲み終わりにザラッとした舌触りを残します。安いダイソー製品は、フィルターとビーカーの隙間が甘く、より多くの微粉が漏れ出るのではないかと疑っていたのです。
しかし、この予想も見事に外れました。両方のコーヒーを最後まで飲み干し、カップの底に残った微粉(ヘドロ状の粉)の量を確認しましたが、目視レベルではその量に明確な差を見つけることはできませんでした。 どちらのカップにも等しく微粉は残っており、飲み終わりの「ザラッ」とした感覚も共通しています。これはつまり、ダイソーの金属フィルターのメッシュ精度や、ゴムパッキン代わりのスプリングの密着度が、ボダム製品と遜色ないレベルで機能していることを証明しています。
もちろん、工業製品としての個体差はあるかもしれません。しかし、今回私が購入した個体に関しては、「ダイソーだから微粉が多い」という事実は一切ありませんでした。もしあなたが微粉を嫌ってフレンチプレスを避けているなら、それはボダムを買っても解決しません。微粉を減らすには、器具のグレードを上げるのではなく、より性能の良い「コーヒーミル(グラインダー)」を使って粒度を揃えるか、微粉除去のためのテクニックを駆使する必要があります。器具の値段は、微粉の量とは無関係だったのです。
「ダイソーでもボダムでも、どうしても微粉が気になる…という方は、器具のせいではなく『淹れ方』で解決できるかもしれません。『劇的に美味しくする5つの極意』をこちらの記事で解説しているので、ぜひ試してみてください。」
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フレンチプレスはまずい?粉っぽさと雑味を消して劇的に美味しくする5つの極意
結論!あえて高級機を選ぶべき人とは
味も微粉の量も変わらない。それなら、全員ダイソーを買えばいいじゃないか。そう思われるかもしれません。しかし、私はそれでも「ボダムを選ぶべき人」は確実に存在すると考えます。それは、「道具に愛着を持ち、長く大切に使いたい人」です。
ダイソーの製品は、やはり耐久性の面で不安が残ります。ガラスは薄く、スペアパーツも売っていません。「割れたら捨てる」という使い捨てに近い感覚になりがちです。一方でボダムは、万が一ガラスが割れても「スペアビーカー」だけを購入して交換することができます。フィルターやネジなどの細かいパーツも供給されており、メンテナンスしながら10年、20年と使い続けることができるのです。SDGsの観点からも、そして「一つの道具を相棒にする」というロマンの観点からも、ボダムには価格以上の価値があります。
逆に言えば、「まずはフレンチプレスの味を試してみたい」「キャンプでガシガシ使って、壊れても悔しくないものがいい」「会社に置きっぱなしにするサブ機が欲しい」というニーズに対しては、ダイソーのフレンチプレスはこれ以上ない「神コスパ」の正解となります。自分のライフスタイルや価値観に合わせて、どちらを選ぶか決めるのが正解です。
【検証まとめ】ダイソー フレンチプレスはコスパ最強だがボダムへの愛着も捨てがたい
今回の比較検証で分かったこと
- 抽出されるコーヒーの「味」と「香り」は、ボダムとダイソーで完全に互角。
- 懸念していた「微粉の量」や「フィルター精度」にも、実用上の差は見られない。
- ボダムの優位性は「ほうけい酸ガラスの耐久性」「付属品の充実」「パーツ供給」にある。
- ダイソーは550円という圧倒的な安さで、フレンチプレスの入り口として最高の役割を果たす。
結論として、「とにかく安く、美味しいコーヒーを始めたい」ならダイソーで間違いありません。しかし、日々のコーヒータイムをより豊かにし、道具を育てる楽しみを味わいたいなら、私は迷わずボダムをおすすめします。どちらを選んでも、フレンチプレスで淹れる豆本来の味わいは、あなたのコーヒーライフを確実にワンランクアップさせてくれるはずです。
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