


- 回数は「計2回」:お湯が上がった瞬間(1回目)と、火を消す直前(2回目)。
- 1回目は「3〜5回」:粉をお湯に沈めるだけでOK。こねくり回すのは渋みの元!
- 2回目は「渦を作る」:火を消す5秒前に、竹ベラで静かに円を描く。
サイフォンの味を支配する「撹拌」2つの黄金タイミング
サイフォンコーヒーにおいて、撹拌(かくはん)は唯一にして最大の「味のコントロールレバー」です。
ドリップのように注ぐ技術がいらない分、この数秒の動作にすべてが凝縮されます。
プロが実践している、1ミリの妥協もないタイミングを解説します。
【1回目】お湯が上がった瞬間:豆に「おはよう」を伝える
フラスコのお湯が上ボールに一気に上がってきた直後、粉はまだ表面で乾いた状態で浮いています。ここが最初の勝負どころ。
目的は「全周に均一にお湯を浸透させること」。
竹ベラを垂直に入れ、奥から手前へ、粉をお湯の中に「沈める」イメージで3〜5回だけ動かします。回すのではなく、揺らす感覚です。
ここで10回以上ぐるぐる回してしまうと、未熟な成分まで無理やり引き出され、サイフォン特有の透明感が一瞬で濁ります。
【2回目】火を消す5秒前:最後の一滴まで旨味を誘導する
抽出時間(約40〜60秒)の終わり、アルコールランプを外す、あるいはヒーターをオフにする直前に2回目の撹拌を行います。
目的は「理想的なドーム型の濾過層を作ること」。
竹ベラでゆっくりと円を描き、上ボールの中に「緩やかな渦」を作ります。火を消すと同時にお湯が下へ落ち始めますが、この渦があることで粉がフィルターの上に均一に積み重なり、雑味を吸着する「天然のフィルター」として機能するのです。
初心者の頃、私は「とにかく混ぜれば濃くて美味しいはず!」と、1回目も2回目もかなり激しく力強く撹拌していました(笑)。
結果は、苦味と渋みが強烈な「ドロドロのコーヒー」。サイフォンの美点は『すっきりした甘み』にあります。引き算の勇気こそが、撹拌の極意です。
【検証】撹拌の回数で味はどう変わる?「3回」vs「15回」の衝撃
実際に、同じ豆・同じ温度で撹拌回数だけを変えて飲み比べた結果(n=12人のテイスティング)を共有します。
| 撹拌回数 | 味の印象 | 判定 |
|---|---|---|
| 3〜5回(推奨) | 豆本来の香りが立ち、後味が驚くほどクリア。 | Winner |
| 15回以上 | 喉に刺さるような渋み。コーヒーの色も濁る。 | Loser |
この結果からわかる通り、サイフォンにおける撹拌は「抽出を助ける」ものであり、「無理やり絞り出す」ものではありません。

【Project 369】
サイフォン撹拌を成功させる「三種の神器」
技術も大事ですが、道具が悪いと撹拌は安定しません。特に以下の3点は、本気で味を変えたいなら投資する価値があります。
1. ハリオ純正の「竹ベラ」
「スプーンじゃダメなの?」と聞かれますが、ダメです。竹は熱伝導率が低く、抽出温度を下げません。また、上ボールのガラスを傷つけない柔らかさも、竹ならでは。数百円の投資で、10万円の高級マシンのような安定感が手に入ります。
2. 秒数が計れるドリップスケール
撹拌はタイミングが命。「なんとなく1分」ではなく、45秒ちょうどで火を消す。この再現性こそがプロの正体です。
3. 火力が安定する「ハロゲンヒーター」
アルコールランプだと、風や芯の長さで火力がバラつきます。火力が不安定だと、お湯の上がり方も不規則になり、撹拌の効果が半減します。もしあなたが「テクニカ」を使っているなら、最新のTCAR-3にふさわしいヒーターを導入するのが、上達への最短距離です。
まとめ:撹拌をマスターして「至高の一杯」を手に入れる
「いつ混ぜるか」という正解を知るだけで、あなたのサイフォンコーヒーは今日から劇的に変わります。最初は秒数を計りながら、竹ベラを静かに動かしてみてください。最後にきれいなドーム型ができた時、あなたはもう初心者を卒業しています。
- 1回目の撹拌:お湯が上がったら、優しく3回「寝かせる」。
- 2回目の撹拌:火を消す5秒前に、緩やかに「渦を作る」。
- 道具の確認:スプーンを使っているなら、今すぐ竹ベラをポチる。