


- 乾燥厳禁:乾いた瞬間にコーヒーオイルが酸化し、地獄の雑味に変わる。
- 毎日換水:タッパーの水は毎日取り替える。ネルも呼吸させてあげる。
- 洗剤NG:洗剤を使った瞬間、そのネルは石鹸味のコーヒー製造機になる。

ネルを「乾かしてはいけない」科学的理由
「洗った後に干しておけば清潔じゃないの?」と思うかもしれません。しかし、コーヒーの世界では逆効果です。ネルの繊維には、目に見えない「コーヒーオイル」が大量に付着しています。
これを乾かすと、オイルが酸素に触れて猛スピードで「酸化」します。一度酸化した油は、強力な悪臭を放ち、次に淹れるコーヒーの味をすべて破壊します。「昨日までは美味しかったのに、今日はなぜか雑巾のような臭いがする…」という場合、原因の100%はネルの乾燥による油の酸化です。
カビは見た目で分かりますが、酸化した油は見えません。水に漬けずに放置したネルは、繊維の奥で油が腐っている状態です。これを防ぐ唯一の方法が、「水に沈めることで酸素を遮断する」ことなのです。
実践!プロが教えるネルフィルターのメンテナンス術
今日から始めてください。このルーティンさえ守れば、ネルは常に最高のポテンシャルを維持してくれます。
1. 使用後:洗剤は「一滴」も使わない
使い終わったネルは、すぐに上ボールから外し、流水で「もみ洗い」します。この時、洗剤は絶対に使いません。ネルは匂いを吸着しやすい性質があるため、洗剤を使うと次に淹れるコーヒーが石鹸の香りになってしまいます。お湯、または水だけで、ぬめりが取れるまで徹底的に洗ってください。
2. 煮沸:新品時と「週に一度」のデトックス
新品のネルを下ろす時は、コーヒーの粉を少し入れたお湯で10分ほど煮沸します(布の糊を取り、馴染ませるため)。また、使い始めてからも週に一度は「お湯だけ」で煮沸してあげると、繊維の奥に詰まった微細な汚れが浮き出し、抽出スピードが復活します。
3. 保管:タッパーで「完全水没」
清潔なタッパーにネルを入れ、完全に水に沈めます。布の一部が水面から出ていると、そこから酸化やカビが始まります。たっぷり水を入れて、蓋をして冷蔵庫へ。これだけで、油の酸化を物理的に防げます。
4. 換水:毎日「新鮮な水」に入れ替える
冷蔵庫に入れていても、水は腐ります。コーヒーを淹れない日でも、必ず1日に1回はタッパーの水を取り替えてください。これが「面倒だ」と感じるかもしれませんが、朝の洗顔ついでに行えば、わずか10秒の作業です。
「まだ使える」はもう遅い。ネルの寿命と交換タイミング
ネルフィルターは消耗品です。どんなに丁寧に手入れしていても、いつかは限界が来ます。以下の3つのサインが出たら、迷わず新しい「ろか布」に交換してください。
- 色が真っ黒になり、煮沸しても抜けない:油と微粉が完全に繊維を塞いでいます。
- 抽出に時間がかかりすぎる:お湯がなかなか下に落ちてこないのは目詰まりの証拠。
- 布が薄くなり、コーヒーに粉が混ざる:物理的な摩耗。味のクリアさが失われます。
サイフォンの味を守る必需品:ハリオ ろか布 F-103S

3杯用(TCAR-3/TCA-3)に最適な替えネルセット。予備を常備しておくことで、「うっかりカビさせてしまった」時の絶望を防げます。味の変化を感じたら、すぐに新品へ交換するのがプロの流儀です。

【Project 369】

まとめ:ネルを愛でることは、コーヒーを愛でること
正直に言いましょう。ネルフィルターの管理は、確かにドリップのペーパーフィルターより手間がかかります。しかし、その手間をかけた分だけ、ネルは「紙では絶対に出せないオイル由来の甘みとコク」をあなたに返してくれます。
- コーヒーを淹れたら、洗剤なしで速攻もみ洗い。
- 専用タッパーに水没させ、冷蔵庫の定位置へ。
- 毎朝、顔を洗うついでに水を替える。
この小さな習慣が、あなたのサイフォンコーヒーを「一生の宝物」に変えてくれます。もし、手持ちのネルがすでに変色し、異臭がしているなら……。それは新しいネルで心機一転、最高のコーヒーライフを再開するチャンスです。