


- 原因①(挽き目):豆の挽き目が細かすぎると、お湯が通り抜けにくくなります。まずはダイヤルを1つ「粗く」してみてください。
- 原因②(粉の詰まり):抽出ユニットの「ステンレスフィルター(網目)」に、古い油分や微細な粉が目詰まりしています。
- 原因③(石灰の蓄積):内部のチューブに石灰(カルキ)が蓄積し、血管のように通り道が細くなっています。
- すぐできる解決策:抽出ユニットをお湯でしっかりと振り洗いし、それでもダメなら「石灰除去」を行います。
- 結論:定期的なメンテナンスを行うことで、ポンプへの負担が減り、元のスムーズな抽出スピードが復活します。

【Project 369】
なぜ遅くなる? お湯の通り道を阻む「3つの壁」
マグニフィカSの抽出は、内部のポンプが9気圧という強い圧力でお湯を押し出すことで成り立っています。このお湯のスピードが遅くなるということは、物理的にお湯の行く手を阻む「壁」ができている証拠です。
1. 豆の挽き目が「細かすぎる」
一番簡単に解決できる原因がこちらです。豆の種類を変えたり、深煎りの豆を使ったりした際に、現在の挽き目設定(グラインダーダイヤル)がその豆に対して「細かすぎる」場合があります。
粉が極細になりすぎると、粉と粉の隙間がなくなってお湯が通り抜けられず、抽出が遅くなったり、ポタポタとしか落ちなくなります。抽出中にダイヤルを「粗く(数字を大きく)」して、スピードが改善するか確認してみてください。
2. 抽出ユニットの「メッシュフィルター」の目詰まり
挽き目を粗くしても改善しない場合、次に疑うべきはマシンの心臓部である「抽出ユニット」です。
ユニットの内部には、お湯を均等にシャワー状に降らせるための「細かいステンレス製の網目(フィルター)」がついています。長期間使用していると、この網目にコーヒーの微細な微粉や酸化した油分がこびりつき、目詰まりを起こします。
フィルターが塞がれれば、当然お湯の出口が狭くなり、抽出スピードは著しく低下してしまいます。
3. 内部チューブの「石灰(水垢)」による狭窄(きょうさく)
数年使用して慢性的に遅くなってきた場合の最大の原因が、内部チューブの「石灰詰まり」です。
水道水に含まれるカルシウムなどのミネラル分が、マシンの熱によって結晶化し、内部のお湯が通るチューブの内側に蓄積していきます。人間の血管にコレステロールが溜まって血流が悪くなる「動脈硬化」と全く同じ物理現象が、マシンの中で起きているのです。
管が細くなればお湯の流量は減り、ポンプは無理やりお湯を押し出そうとして悲鳴を上げることになります。
【完全解決】抽出スピードを取り戻す2つのメンテナンス
抽出が遅いという症状は、ポンプが限界を迎える前の「SOSサイン」です。手遅れになってポンプが完全に壊れてしまう前に、以下の2つのメンテナンスを行って、お湯の通り道を綺麗に掃除してあげましょう。
ステップ1:抽出ユニットの「念入りなぬるま湯洗い」
まずは、目詰まりしている抽出ユニットのステンレスフィルターを綺麗にします。
- マシンの電源を完全に切り、右側の扉を開けて抽出ユニットを取り出します。
- 大きめのボウルにぬるま湯を張り、ユニットを沈めて上下左右に「シャバシャバ」と激しく振り洗いします。
- ステンレスの網目部分が見える場合は、柔らかい筆などで優しく撫でるようにして、こびりついた粉と油分を落とします。(※絶対に洗剤や硬いタワシは使用しないでください)
- しっかりと自然乾燥させてからマシンに戻します。
これだけでも、お湯の抜けが良くなり、抽出スピードが劇的に改善することがよくあります。
ステップ2:純正除石灰剤による「石灰除去プログラム」
ユニットを洗ってもスピードが戻らない、あるいはお湯の勢いが極端に弱い場合は、内部チューブの石灰詰まりが疑われます。
「赤い除石灰ランプが点滅していないからまだ平気」と思うかもしれませんが、硬度の高い水を使っていたり、使用頻度が非常に高かったりすると、センサーが反応する前に管が狭くなってしまうことがあります。
ランプが点滅していなくても、手動で「石灰除去プログラム」を実行することは可能です。
必ずデロンギ純正の「除石灰剤」を使用し、取扱説明書の手順に従って内部の管をしっかりと洗浄してください。ドロドロの石灰が溶け出し、購入した時のような勢いのあるスムーズな抽出が復活しますよ。
【警告】放置すると数万円の有償修理になります
「時間がかかるだけだから、まあいっか」と、抽出が遅い状態を放置するのは大変危険です。
細くなった管に9気圧の圧力をかけ続けると、ポンプのモーターに過剰な負荷がかかり、ある日突然ポンプが焼き切れて完全に壊れてしまいます。
取扱説明書や保証書にも記載されていますが、「使用上の誤りおよび不当な修理や改造」「消耗品の損耗」は、保証期間内であっても有償修理となります。石灰詰まりによるポンプの故障は、適切なメンテナンスを怠った結果とみなされ、2万円〜3万円という高額な修理代が請求されるケースがほとんどです。
まとめ:抽出スピードは、マシンの「健康バロメーター」です
コーヒーがカップに注がれるスピードは、マシン内部の健康状態を測るための大切なバロメーターです。
「なんだか最近、元気がないな(遅いな)」と感じたら、それはマシンからのSOSです。抽出ユニットの洗浄と、純正の除石灰剤による内部クリーニングを行って、お湯の通り道をスッキリと綺麗にしてあげてください。マシンの呼吸が整えば、また毎日素晴らしい香りと味をあなたに届けてくれますよ。
- 抽出中にグラインダーダイヤルを少し「粗く」して変化を見る
- 抽出ユニットを取り出し、ぬるま湯で念入りに振り洗いをする
- それでも遅い場合は、純正の除石灰剤を使って石灰除去プログラムを実行する
