


- 絶対のタブー:「食器用洗剤」は絶対に使わないでください。水洗い(またはぬるま湯)が鉄則です。
- 洗剤がNGな理由:動きを滑らかにしている「食品用のグリス(潤滑油)」まで洗い流してしまい、故障の原因になるためです。
- 正しい洗い方:ボウルに張ったぬるま湯の中で、シャバシャバと振り洗いをするだけで十分綺麗になります。
- グリスアップの目安:「ギシギシと異音がする」「動きが重い」と感じたら、赤いOリング(ゴム)と側面のレールに食品用グリスを塗ります。
- 結論:月に1回の水洗いだけで、マシンの寿命とコーヒーの味は劇的に向上します。

【Project 369】
抽出ユニット(心臓部)の正しい取り外しと水洗い手順
マグニフィカSで毎日美味しいコーヒーを淹れていると、抽出ユニットの内部にはコーヒーの細かい粉と、豆から出た油分が少しずつ蓄積していきます。これを放置すると、酸化した油の匂いが新しいコーヒーに移ってしまうため、月に1回程度のリフレッシュが必要です。
ステップ1:必ず「電源を切ってから」取り外す
まず、前面の電源ボタンを押してマシンをオフにします。自動洗浄(お湯が出る動作)が終わり、完全にランプが消えたことを確認してから、背面の主電源スイッチもオフにしてください。
電源が入ったまま、あるいは抽出の途中で無理やり扉を開けようとすると、ユニットが正しい位置(取り外せる定位置)に戻っておらず、破損の原因になります。
ステップ2:赤いボタンをつまんで引き出す
本体右側の水タンクを外し、その奥にある扉を開けます。
中央に鎮座しているのが「抽出ユニット」です。ユニットの左右にある「赤いボタン」を親指と人差し指で同時にギュッとつまみながら、手前へ真っ直ぐ引き出します。力を入れなくても、スッと簡単に抜けるはずですよ。
ステップ3:洗剤は厳禁!ぬるま湯で「振り洗い」をする
取り出したユニットを洗面所やシンクへ持っていきます。
ここで最大の注意点ですが、絶対に「食器用の中性洗剤」や「スポンジ」を使ってゴシゴシ洗わないでください。
大きめのボウルや洗面器にぬるま湯を張り、その中にユニットをドボンと沈め、お湯の中で「シャバシャバ」と上下左右に振って洗います。これだけで、内部に詰まっていたコーヒーの粉が面白いようにパラパラと落ちていきます。
頑固な粉がついている場合は、柔らかい筆やブラシで優しく撫でる程度にとどめておきましょう。
ステップ4:完全に自然乾燥させてから戻す
洗い終わったら、タオルで軽く水気を拭き取り、風通しの良い場所でしっかりと自然乾燥させます。
内部に水滴が残ったままマシンに戻してしまうと、次に挽いた乾いたコーヒー粉が水滴に張り付いてしまい、泥のように詰まる原因になってしまいます。できれば一晩しっかり乾かすのが理想的です。
なぜ洗剤はNG? 内部の「グリス(潤滑油)」の役割
「油汚れなんだから、洗剤で綺麗にキュッキュと洗ったほうがいいのでは?」
そう思われるかもしれませんが、抽出ユニットにとって「キュッキュ」と鳴る状態は、物理的に最も危険な状態なのです。
抽出ユニットは、コーヒー粉を強く押し固めるために、内部のパーツがレールに沿って上下に激しく動く構造になっています。
この動きをスムーズにするため、工場出荷時の段階から、レール部分や圧力の密閉を防ぐ「赤いOリング(ゴムパッキン)」の周りには「食品機械用の専用グリス(潤滑油)」がたっぷりと塗られています。
もし洗剤で洗ってしまうと、この大切なグリスまで完全に洗い流されてしまいます。グリスがなくなると、プラスチック同士が直接激しくこすれ合い、「ギシギシ」「ガガガ」という異音が発生し、最悪の場合はモーターに負荷がかかってマシンが故障してしまうのです。だからこそ、「水洗い」が絶対の鉄則なのですね。
動きが悪い・異音がする時の「グリスアップ」手順
とはいえ、水洗いだけで大切に使っていても、数ヶ月〜1年ほど経過すると、お湯の熱などによって徐々にグリスは流れ落ちていきます。
「最近、抽出する時のギシギシ音が大きくなった気がする」「ユニットを手で動かそうとしても重くて固い」と感じたら、それはマシンからの「潤滑油が足りないよ」というSOSのサインです。ご自身で簡単な「グリスアップ」を行ってあげましょう。
用意するもの:絶対に「食品機械用グリス」を使うこと
グリスアップを行う際、ホームセンターなどで売られている機械用のスプレーオイル(CRC 5-56など)は絶対に使用してはいけません。コーヒーに混入すると人体に有害ですし、ゴム部品を溶かしてしまいます。
必ず、口に入っても安全な「食品機械用シリコングリス(OKS 1110など)」、またはデロンギ公式のメンテナンス用グリスを用意してください。ネット通販で数百円〜千円程度で購入できます。
グリスを塗る「2つの重要ポイント」
ユニットが完全に乾燥した状態で、以下のポイントに綿棒などを使って少量のグリスを塗布します。
- 赤いOリング(ゴムパッキン)の周囲:
粉を押し固める円筒状の部品の周りについている、赤いゴムのリングです。このゴムの表面に薄くグリスを一周なじませることで、密閉性が高まり、スムーズに上下するようになります。 - 側面の可動レール(溝)部分:
ユニットの側面にある、パーツが上下にスライドする溝の部分です。ここにも綿棒で薄くグリスを塗り広げます。
塗り終わったら、手でユニットの可動部を何度か上下に動かし、グリスを全体に馴染ませてください。見違えるようにスルッと滑らかに動くようになり、マシンの異音も魔法のように消え去りますよ。
【トラブル】洗浄後、ユニットがマシンに戻らない時は?
最後に、お手入れ後によくあるトラブルの解決法をお伝えしておきます。
「洗ったユニットをマシンに押し込もうとしたら、奥で何かに引っかかってカチッとハマらない!」というケースです。
これは、ユニットを洗っている最中に手で可動部を動かしてしまい、マシン側のギアの角度と、ユニット側の角度がズレてしまっていることが原因です。
無理に力任せに押し込もうとすると部品が折れてしまいます。以下の手順でマシン側を「リセット」してください。
- ユニットは一旦外に出したまま、マシンの右側の扉をカチッと閉めます。
- カス受けトレイも所定の位置に戻します。
- コンセントを繋ぎ、前面の電源ボタンを「オン」にします。
- すると、マシンの中で「ウィーン、ガシャッ」とモーターが動き、ギアが正しい定位置に自動でリセットされます。
- 動作音が止まったら電源を切り、再度扉を開けてユニットを挿入してみてください。今度はスムーズにカチッとハマるはずです。
まとめ:機械の悲鳴(異音)に気づけるのは、あなただけです
マシンの心臓部である抽出ユニットのお手入れは、「洗剤を使わずに、ぬるま湯で振り洗いをする」というシンプルなルールさえ守れば、決して難しいものではありません。
「ギシギシ」という機械の悲鳴に気づいてグリスを塗ってあげられるのは、毎日マシンを使っているあなただけです。月に1回の愛情あるメンテナンスで、マグニフィカSは長きにわたって、あなたに極上の一杯を淹れ続けてくれますよ。
- 月に1回、電源を完全に切ってから抽出ユニットを引き出す
- 洗剤は使わず、ぬるま湯のボウルの中で「振り洗い」をする
- 異音がする場合は「食品機械用シリコングリス」をOリングとレールに塗布する
