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コーヒー豆を選ぶとき、コーヒー焙煎度の違いが味を決める重要な要素だとご存知でしたか。カフェや専門店で「浅煎り」や「深煎り」という言葉は聞いても、具体的に焙煎度のランクは?8段階を解説してほしい、あるいは焙煎 種類 苦い順に紹介してほしいと感じる方も多いでしょう。また、焙煎の色見本と読み方や計算方法、焙煎の違いと味の関係性、特に「浅煎りコーヒーはまずい?」といった疑問もよく聞かれます。豆の焙煎と産地による味の違いや、パチパチと音が鳴る焙煎方法の種類、特にハゼ度合とは?何かを知ることも、好みの味を見つける近道です。この記事では、コーヒー焙煎度の違いを知る選び方を基本から解説します。深煎りか浅煎りかどっちがいい?と迷っている方や、初心者への焙煎度合いおすすめは?を知りたい方のために、焙煎とコーヒー豆の選び方のコツを詳しくご紹介します。さらに、焙煎を自宅で行う方法にも触れながら、まとめ:コーヒー焙煎度の違いを理解できるよう、体系的に情報を整理しました。あなた好みの一杯を見つける旅に、ぜひお役立てください。
- 焙煎度8段階の名称と味の特徴がわかる
- 浅煎り・中煎り・深煎りの具体的な違いがわかる
- 初心者が選ぶべきおすすめの焙煎度がわかる
- 自宅で焙煎する際の基本的な流れがわかる
コーヒー焙煎度の違いが味を決める
- 焙煎度のランクは?8段階を解説
- 焙煎 種類 苦い順に紹介
- 焙煎の色見本と読み方s計算
- 焙煎の違いと味。浅煎りコーヒーはまずい?
- 焙煎と産地による味の違い
- 焙煎方法の種類sハゼ度合とは?
焙煎度のランクは?8段階を解説

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コーヒーの焙煎度は、一般的に「浅煎り」「中煎り」「深煎り」の3つに大別されますが、専門的には8段階のランクに細分化されています。この焙煎度合いは、生豆(なままめ)を煎る時間の長さや加熱温度によって決まります。
焙煎が浅ければ酸味が際立ち、深くなるにつれて苦味とコクが増していきます。この8段階の分類は、多くのコーヒー業界でも基準として示しており、コーヒーの味を表現する上での共通言語となっています。
HARIOサイト コーヒー豆の焙煎度合いは、全部で8段階!浅煎りから深煎りまでをご紹介
「焙煎」とは、淡い緑色をした生豆を加熱処理し、私たちが知っている茶色いコーヒー豆にする工程のことです。生豆の状態では、コーヒー特有の香りや味はほとんどありません。加熱による化学変化(メイラード反応やカラメル化)を経て、初めてあの芳醇な香りと複雑な味わいが生まれるのです。この加熱のさじ加減が、味と香りのすべてを決定づけると言っても過言ではありません。
ここでは、焙煎度の8段階について、それぞれの名称と特徴を一覧表で詳しくご紹介します。
| 焙煎度 | 区分 | 主な特徴と味わい | 色合い | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| ライトロースト | 浅煎り | 最も浅い焙煎度。生豆の水分が抜けた段階。青臭さや穀物のような香りが残りがちで、酸味が非常に強いです。コーヒーらしい風味はまだ乏しく、一般的に飲用にはあまり向きません。 | シナモン色より薄い | テイスティング(カッピング)、品質検査用 |
| シナモンロースト | 浅煎り | シナモンのような明るい茶色。酸味が際立ちますが、まだコーヒーらしいコクや甘みは少ないです。豆本来の個性(フルーティーさ)が出始めます。 | シナモン色 | スペシャルティコーヒー(酸味重視の場合) |
| ミディアムロースト | 中煎り | 栗色から茶褐色。酸味が主体で、ほのかな甘みと苦味が感じられます。「アメリカンコーヒー」と呼ばれる、すっきりした味わいを好む場合に向いています。 | 栗色 | アメリカン、ブレンドのベース |
| ハイロースト | 中煎り | 最も標準的な焙煎度の一つ。酸味と苦味、甘みのバランスが取れ始めます。日本の喫茶店などで「レギュラーコーヒー」として多く採用されています。 | 茶褐色 | レギュラーコーヒー、ブレンドのベース |
| シティロースト | 中深煎り | コクと苦味が増し、酸味は穏やかになります。バランスが良く、日本で最も好まれる焙煎度の一つです。スペシャルティコーヒーでも個性を残しつつ飲みごたえを出したい時に使われます。 | 濃い茶褐色 | レギュラーコーヒー、エスプレッソ(浅め) |
| フルシティロースト | 深煎り | 酸味はほとんど感じられなくなります。力強い苦味とコク、カラメルのような甘香ばしさが特徴です。豆の表面に油分がにじみ出始める頃合いです。 | 黒に近い茶褐色 | アイスコーヒー、エスプレッソ |
| フレンチロースト | 深煎り | 強い苦味とスモーキーな香りが特徴。豆の表面は油分(コーヒーオイル)で覆われます。酸味はほぼありません。カフェオレやウィンナーコーヒーなど、ミルクと合わせるのに最適です。 | 黒褐色 | カフェオレ、アイスコーヒー、エスプレッソ |
| イタリアンロースト | 深煎り | 最も深い焙煎度。黒光りしており、苦味が支配的で、焦げたような香ばしさがあります。エスプレッソの本場イタリアで好まれることからこの名がつきました。 | 黒色 | エスプレッソ、カプチーノ |
この8段階の分類はあくまで一般的な目安です。お店によっては「中煎り」をハイローストとシティローストの両方を含めて呼んだり、独自の基準や呼び方(例:ジャーマンローストなど)を用いている場合もあります。
焙煎 種類 苦い順に紹介

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コーヒーの苦味は、焙煎が進む(加熱時間が長くなる)ほど強くなります。焙煎度合いの種類を苦い順に並べると、以下のようになります。
- イタリアンロースト(最も苦い)
- フレンチロースト
- フルシティロースト
- シティロースト
- ハイロースト
- ミディアムロースト
- シナモンロースト
- ライトロースト(最も苦味が少ない)
なぜ焙煎が深くなると苦味が増すのでしょうか。これは、生豆に含まれる成分が加熱によって複雑な化学変化を起こすためです。
深煎りで苦味が増す主な理由
- カラメル化: 生豆に含まれるショ糖などの「糖分」が、高温で加熱されることにより焦げ、カラメルのような甘苦い風味と苦味成分に変化します。
- メイラード反応: 「糖」と「アミノ酸」が反応し、メラノイジンという褐色の物質を生成します。これがコーヒーの香ばしさやコク、そして苦味の一部を生み出します。
- クロロゲン酸の分解: コーヒーの酸味の元の一つである「クロロゲン酸」は、焙煎が進むと分解されます。その過程で「カフェ酸」や「キナ酸」などに変わり、これらの一部が苦味として感じられます。
苦味のピークはイタリアンローストです。フレンチローストやイタリアンローストまで焙煎が進むと、豆本来の繊細な酸味や個性的な風味はほとんど失われ、代わりに焙煎によって生まれた香ばしさや力強い苦味が前面に出る味わいとなります。
逆に、浅煎り(ライトロースト、シナモンロースト)ではこれらの化学反応があまり進んでいないため、苦味は非常に少なく、豆が本来持つ酸味や甘味が際立ちます。
カフェインと苦味の関係 コーヒーの苦味=カフェインと思われがちですが、苦味全体に占めるカフェインの割合は10%程度とされています。苦味の主役は上記のような焙煎による化学変化で生まれる成分です。 また、カフェインは熱に強いため焙煎で大きく減ることはありませんが、深煎りになると豆が膨張して体積が増え、重さはわずかに軽くなります。そのため、「同じ重さ(例:10g)の豆」で比べると深煎りの方がカフェイン量はわずかに少なくなり、「同じスプーン1杯(体積)」で比べると深煎りの方がカフェイン量は少なくなる傾向があります。
焙煎の色見本と読み方s計算
焙煎度は、コーヒー豆の色によって客観的に判断することができます。焙煎が進むにつれて、豆の色は「淡い緑色(生豆)→黄色→シナモン色→茶褐色→黒褐色→黒色」と変化していきます。
プロの世界では「アグトロン値(Agtron Value)」という専用の分光測色計で色を数値化し、焙煎度を厳密に管理しています。
アグトロン値は、豆の色の明るさを0(真っ黒)から100(真っ白)の数値で示します。数値が大きいほど浅煎り、小さいほど深煎りとなります。 例えば、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)では、焙煎度のサンプル基準をアグトロン値で定めています。
一般の家庭でアグトロン値を知ることは難しいため、焙煎の色見本(ローストカラーチャート)を参考にするのが現実的です。色見本は、実際の焙煎豆を8段階ごとに並べたもので、視覚的に焙煎度を比較するのに役立ちます。インターネット検索や専門店で入手できる場合があります。
焙煎指数の計算方法
自家焙煎を行う場合、色の見本だけでなく「焙煎指数」という計算方法で焙煎度を管理することも可能です。これは、焙煎によって生豆の水分が蒸発し、豆の重量が減少する割合(減量率)を利用したものです。
焙煎指数の計算式:
焙煎前の生豆の重量 ÷ 焙煎後の豆の重量 = 焙煎指数
例えば、生豆200gを焙煎して160gになった場合、「200 ÷ 160 = 1.25」となります。この焙煎指数「1.25」が、狙った焙煎度(この場合はフレンチロースト程度)の目安となります。
焙煎が深くなるほど水分が多く蒸発するため、焙煎後の重量は軽くなり、焙煎指数は高くなります。逆に浅煎り(シナモンローストなど)ほど焙煎指数は低くなります(1.10〜1.15程度)。
焙煎指数の注意点 この計算方法は、あくまで「同じ豆、同じ焙煎機」を使った際の自分自身の焙煎記録として活用するのが良いでしょう。豆の種類(品種や生産地の標高)や、その時の生豆の水分含有量、焙煎機の種類(熱風式か直火式か)によって水分の抜け方(減量率)は変動するため、絶対的な指標とはなりません。
焙煎の違いと味。浅煎りコーヒーはまずい?

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焙煎の違いは、コーヒーの味に決定的な影響を与えます。浅煎りと深煎りでは、味の構成要素が正反対と言えるほど異なります。味の主な要素である「酸味」「苦味」「甘味」「香り」「コク(ボディ)」が、焙煎度によって劇的に変化するのです。
| 焙煎度 | 浅煎り (ライト~ミディアム) | 深煎り (フルシティ~イタリアン) |
|---|---|---|
| 酸味 | 強い(主役)。フルーティー、華やか。 | 弱い(ほぼ感じない)。 |
| 苦味 | 弱い。 | 強い(主役)。香ばしい、スモーキー。 |
| 甘味 | 豆本来の甘さ、果実感のある甘さ。 | カラメルのような甘苦さ。 |
| 香り | フローラル、シトラス、ベリー系。 | ローストナッツ、チョコレート、ビター。 |
| コク | 軽い、すっきり、クリーン。 | 重い、濃厚、しっかり。 |
浅煎りコーヒーはまずい?
「浅煎りコーヒーは酸っぱくてまずい」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。このネガティブな印象は、いくつかの誤解や悪い体験から生じている可能性があります。
一つ目は、質の悪い酸味を経験した可能性です。コーヒー豆は焙煎後に時間が経つと「酸化」が進み、油分が劣化してツンと鼻につく、不快な酸味(酸っぱさ)が出てきます。これは浅煎り本来の「フルーティーで良質な酸味」とは全く別物です。
二つ目は、焙煎の失敗(生焼け)です。特に浅煎りは焙煎が難しく、豆の芯まで十分に火が通っていない状態(アンダーディベロップメント)だと、生臭さや穀物のような不快な風味、刺激的な酸味だけが残ってしまいます。
近年のスペシャルティコーヒーの流行(サードウェーブ)により、高品質な豆の個性を活かすため、あえて浅煎りで提供するお店が増えています。信頼できるお店で高品質な浅煎りコーヒーを飲めば、「コーヒー=苦いもの」という概念が変わるかもしれませんよ。
本当に美味しい浅煎りコーヒーは、まるでレモンティーやベリージュースのような、甘く爽やかな酸味があり、「まずい」どころか非常に豊かで複雑な風味体験を提供してくれます。
焙煎と産地による味の違い
コーヒー豆は、産地(生産国や地域)によって風土や気候、土壌、標高、精製方法が異なるため、豆自体が持つ味の個性が異なります。そして、その豆のポテンシャル(潜在能力)を最大限に活かすために、推奨される焙煎度合いも変わってきます。
例えば、エチオピアやケニアといったアフリカ諸国、またはコロンビアやグアテマラなど中南米の標高が高い地域で栽培される豆は、華やかな香りや複雑で明るい酸味が特徴です。これらの豆は、その繊細な個性を楽しむために浅煎り~中煎り(シナモン~ハイロースト)で仕上げられることが多いです。
一方で、インドネシア(特にマンデリン)やブラジルの一部の豆は、重厚なコクや大地のようなアーシーな風味、ナッツのような香ばしさが特徴です。これらの個性は、中煎り~深煎り(シティ~フルシティロースト)にすることで、どっしりとした飲みごたえや甘苦さとして、より一層引き立ちます。
産地と焙煎度の一般的な傾向
- 浅煎り~中煎り向き: エチオピア、ケニア、コロンビア、グアテマラ、パナマ(酸味やフローラルな香りを活かす)
- 中煎り~深煎り向き: ブラジル、インドネシア(マンデリン)、ベトナム(コク、甘味、苦味を活かす)
もちろん、これはあくまで一般的な傾向です。ブラジル産の豆をあえて浅煎りにしてナッツ感を強調したり、エチオピア産の豆を深煎りにして独特のスパイシーさを引き出す場合もあります。
焙煎と産地の味の違いを理解するには、「この産地だからこの焙煎」と決めつけるのではなく、「この豆が持つ素晴らしい個性を活かすために、焙煎士がこの焙煎度を選んでいる」と考えると、コーヒー選びがより楽しくなるでしょう。
焙煎方法の種類sハゼ度合とは?

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コーヒーの味は、焙煎機(ロースター)の焙煎方法の種類によっても変わってきます。これは、豆への熱の伝え方が異なるためです。主な焙煎方法には「直火式」「熱風式」「半熱風式」の3種類があります。
- 直火式: ドラム(釜)に開いた多数の穴から、豆に直接ガスの火を当てて焙煎する方法です。熱のコントロールが難しく高い技術を要しますが、豆の芯まで火が通りやすく、力強く香ばしい風味、しっかりとした苦味と個性が出やすいとされています。
- 熱風式: ドラムには穴がなく、外部の熱源で作った高温の熱風を豆に吹き付けて焙煎する方法です。豆が均一に加熱されやすく、失敗が少ないのが特徴です。クリーンですっきりとした味わい、マイルドな酸味が引き立ちやすい傾向があります。
- 半熱風式: 直火式と熱風式の両方の特徴を併せ持つタイプです。ドラムに穴はなく(または非常に少なく)、ドラム自体を熱する伝導熱と、釜の内部を循環する熱風をバランスよく使います。味のバランスが取りやすく、再現性も高いため、現在多くのロースターで主流となっています。
どの焙煎方法が優れているというわけではなく、焙煎士が目指す味(クリアさ、力強さ、バランス)に合わせて使い分けられています。コーヒーショップで豆を選ぶ際に、どの焙煎機を使っているか尋ねてみるのも面白いかもしれません。
ハゼ度合とは?
焙煎を理解する上で欠かせないのが「ハゼ」です。ハゼ度合とは、焙煎中に豆の内部の水分が蒸発して水蒸気となり、その圧力で豆の細胞壁が破壊され「パチパチ」と音が鳴る現象を指します。焙煎はこのハゼの音を目安に進められます。
- 1ハゼ(ファーストクラック): 焙煎開始からしばらく経ち、豆の温度が180℃~200℃前後に達した頃に起こります。「パチッ、パチッ」と大きく、やや乾いた音がします。これは豆の内部の水分が一気に蒸発し、組織が膨張する音です。この1ハゼが始まると「浅煎り」の領域に入り、1ハゼが完全に終わる頃が「中煎り」の入り口(ミディアムロースト)となります。
- 2ハゼ(セカンドクラック): 1ハゼが落ち着き、さらに加熱を進めて温度が215℃~225℃付近になると起こります。「ピチッ、ピチッ」と小さく、甲高い音が連続します。これは豆の組織自体が熱で脆くなり、内部の炭酸ガス(二酸化炭素)の圧力で破壊される音です。2ハゼが始まると「深煎り」の領域(フルシティロースト)に入ります。
焙煎度は、この1ハゼと2ハゼの音を聞き分ける「ハゼ度合」を基準に、色や香りの変化と合わせて総合的に判断されるのです。
コーヒー焙煎度の違いを知る選び方
- 深煎りか浅煎りかどっちがいい?
- 初心者への焙煎度合いおすすめは?
- 焙煎とコーヒー豆の選び方
- 焙煎を自宅で行う方法
- まとめ:コーヒー焙煎度の違いを理解
深煎りか浅煎りかどっちがいい?

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コーヒー豆を選ぶ際、最も悩ましい分岐点が「深煎りか浅煎りかどっちがいい?」という問題です。結論から言えば、どちらかが優れているということはなく、完全に個人の好みや飲むシーンによります。ハンバーグと刺し身のどちらが優れているかを決めるのが難しいのと同じです。
それぞれのメリットとデメリットを理解して、ご自身の好みに合うものを選びましょう。
浅煎りのメリット
- 豆本来の個性(フルーティーさ、華やかな香り)をダイレクトに楽しめる。
- すっきりとした飲み口で、紅茶のようにクリーンな味わい。
- 朝やリフレッシュしたい時に飲むのに向いています。
- 豆の品質(良い点も悪い点も)がストレートに出やすい。
浅煎りのデメリット
- 苦味やコクが少ないため、物足りなく感じることがある。
- ミルクや砂糖との相性はあまり良くない場合が多いです。
- 「酸っぱい」と感じる質の悪い酸味や、焙煎不足(生焼け)の豆に当たるリスクもゼロではありません。
深煎りのメリット
- しっかりとした苦味とコク、焙煎による香ばしさを楽しめる。
- ミルクや砂糖との相性が抜群で、カフェオレやアイスコーヒーに最適です。
- 食後の一杯としても満足感があり、リラックスしたい時に向いています。
- 豆の品質が多少悪くても、焙煎の技術である程度カバーできる側面があります。
深煎りのデメリット
- 豆本来の繊細な個性やフルーティーな酸味は失われてしまいます。
- 焙煎が強すぎる(焦げている)と、ただ苦いだけで味の奥行きが感じられない場合があります。
- どの豆も似たような「深煎りの味」になりがちです。
もしブラックコーヒーで豆の風味そのものを楽しみたいなら浅煎り~中煎りを、ミルクと合わせたり、どっしりとした苦味でリラックスしたいなら中煎り~深煎りを選ぶのがおすすめです。
まずは両方を試してみて、ご自身の舌で「どちらが心地よいか」を判断するのが一番の近道です。その日の気分で飲み分けるのも、コーヒーの大きな楽しみ方の一つです。
初心者への焙煎度合いおすすめは?
コーヒー初心者が最初に試す焙煎度合いとしておすすめなのは、ずばり「中煎り(ハイロースト)」または「中深煎り(シティロースト)」です。
理由は、この2つの焙煎度がコーヒーの味のバランスが最も取れている「中庸」の味わいであるためです。酸味と苦味、どちらか一方に極端に偏っていないため、多くの人が「美味しいコーヒー」として認識しやすい味わいと言えます。
初心者にハイロースト・シティローストがおすすめな理由
- ハイロースト(中煎り): 酸味と苦味のバランスが良く、コーヒーらしい香ばしさも感じられます。日本の喫茶店で「レギュラーコーヒー」として提供されることの多い、まさに王道の味わいです。まずはこの味を基準にすると良いでしょう。
- シティロースト(中深煎り): ハイローストよりもやや苦味とコクが強く、酸味は穏やかになります。こちらも非常にバランスが良く、ブラックでも飲みやすく、少しミルクを加えても美味しい万能な焙煎度です。
初心者のうちに、いきなり極端な浅煎り(シナモンローストなど)を試すと、その強い酸味に驚いて「コーヒーは酸っぱくて苦手だ」と感じてしまうかもしれません。
逆に、極端な深煎り(イタリアンローストなど)は、強烈な苦味が支配的で、これもまた「ただ苦い飲み物」という印象を与えてしまう可能性があります。
まずは「真ん中」を知ることが大切 何事も、まずは基準となる「真ん中」を知ることが重要です。ハイローストやシティローストを飲んでみて、そこからご自身の好みを判断するのが失敗の少ない方法です。
まずはハイローストかシティローストを基準とし、そこから「もう少し酸味が欲しい」と思えば浅煎り側に、「もっと苦味が欲しい」と思えば深煎り側に、少しずつ試していくのが、好みの味を見つける最短ルートと言えるでしょう。
焙煎とコーヒー豆の選び方
焙煎とコーヒー豆の選び方には、いくつかのコツがあります。闇雲に「人気だから」「値段が高いから」で選ぶのではなく、ご自身の「好み」と「飲み方」という2つの軸を基準に選ぶことが重要です。
1. 好みの味(酸味 vs 苦味)で選ぶ
まずは、ご自身がコーヒーに何を求めているかを明確にします。リラックスしたいのか、リフレッシュしたいのかで選ぶ味は変わってきます。
- 酸味やフルーティーさが好き(リフレッシュしたい): 浅煎り~中煎り(シナモン、ミディアム、ハイロースト)を選びましょう。産地はエチオピアやケニア、グアテマラなど、華やかな酸味が特徴の豆がおすすめです。
- 苦味やコクが好き(リラックスしたい): 中深煎り~深煎り(シティ、フルシティ、フレンチ)を選びましょう。産地はインドネシア(マンデリン)やブラジルなど、どっしりとしたコクや香ばしさが特徴の豆が適しています。
- バランス重視(毎日飲みたい): 中煎り~中深煎り(ハイ、シティロースト)が最適です。どんなシーンにも合い、飲み飽きない味わいです。
2. 飲み方(抽出方法)で選ぶ
コーヒーをどのように飲むかによっても、適した焙煎度は変わります。同じ豆でも、淹れ方で最適な焙煎度が異なるのです。
- ハンドドリップ(ブラックで飲む): 最も自由度が高い淹れ方です。豆の個性が分かりやすい浅煎り~中深煎り(シナモン~シティ)がおすすめです。
- ミルクや砂糖を入れる(カフェオレなど): ミルクの風味や甘さに負けない、深煎り(フルシティ、フレンチ)が最適です。苦味とコクがミルクの甘さを引き立て、バランスの良い味わいになります。
- アイスコーヒーで飲む: 冷やすと香りが立ちにくくなるため、しっかりとした風味が出る深煎り(フレンチ、イタリアン)が一般的です。逆に、浅煎りの豆を水出し(コールドブリュー)にすると、フルーティーでゴクゴク飲める別物の美味しさになります。
- エスプレッソで飲む: 短時間・高圧力で一気に成分を抽出するため、深煎り(フレンチ、イタリアン)が基本です。これにより、濃厚なコクと苦味、クレマ(泡)が生まれます。
お店で豆を購入する際は、恥ずかしがらずに「酸味が苦手で、いつもミルクを入れて飲みます」や「ブラックで、果物みたいな香りのものが好きです」と店員さんに伝えるのが一番確実ですよ。プロがあなたの好みにぴったりの豆と焙煎度を提案してくれます。
焙煎を自宅で行う方法
コーヒーに深くこだわるようになると、「焙煎を自宅で行う」(自家焙煎)に挑戦する方も増えています。焙煎したての豆は、市販のものとは比べ物にならないほど香りが豊かです。専用の家庭用焙煎機もありますが、まずは手軽な道具で試すことができます。
最も一般的なのは、手網(てあみ)やフライパン(片手鍋)を使う方法です。特に手網は安価で、豆の変化をダイレクトに感じられるため、入門用として人気があります。
自宅焙煎の基本的な流れ(手網の場合)
ステップ1:準備
コーヒーの生豆(まずは失敗してもよい安価なブラジル産などがおすすめ)、カセットコンロ、手網、耐熱性の軍手、豆を冷やすための金属製のザルやうちわを準備します。換気扇を「強」にし、窓を開けて換気を確保します。
ステップ2:水抜き(乾燥)
コンロを中火にかけ、手網に生豆を入れます(一度に焙煎する量は50g~100g程度がムラになりにくいです)。火から15cm~20cmほど離した位置で、手首のスナップを使って常に手網を振り続けます。豆が黄色っぽくなり、湯気と共に生臭い香りがしてきたら、水分が抜けてきたサインです。(焙煎開始から約5~8分)
ステップ3:1ハゼ
豆が茶色くなり始めると「パチパチ」と1ハゼが始まります。焦げないように振り続け、火加減を中火~弱火に調整します。ここから化学変化が一気に進みます。(約8~12分)
ステップ4:2ハゼ
1ハゼが落ち着くと、しばらくして「ピチピチ」と甲高い2ハゼが始まります。ここから焙煎の進行が非常に早くなるため、一瞬も目が離せません。深煎りにする場合はここから数十秒が勝負です。(約12~15分)
ステップ5:煎り止め・冷却
狙った焙煎度(色やハゼの音)になったら、すぐに火から下ろします。ここが最も重要です。ザルにあけ、うちわやドライヤーの冷風で一気に冷まします。豆は200℃以上の高温になっているため、冷却が遅れると余熱で焙煎がどんどん進んでしまいます。
自宅焙煎の注意点
- チャフ(薄皮)が飛ぶ: 焙煎中に豆から剥がれた薄皮(チャフ)がコンロ周りにかなり飛び散ります。屋外で行うか、コンロ周りをアルミホイルなどで養生する対策が必要です。
- 煙が大量に出る: 特に1ハゼが終わり、深煎りに向かうにつれて、かなりの量の煙と匂いが発生します。必ず換気扇を「強」で回し、窓を開けるなど換気を徹底してください。火災報知器が作動する可能性があるため、場所を選ぶ必要があります。
- 焙煎ムラ: 常に手を動かし続けないと、豆に均一に火が通らず、生焼けの豆と焦げた豆が混在し、味に悪影響が出ます。
焙煎を自宅で行うのは手間がかかりますが、煎りたて3日以内の、最も香りが華やぐ新鮮なコーヒー豆を味わえるのは格別です。コーヒーの楽しみ方が一段と深まるでしょう。興味のある方は、まずは少量の生豆から挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ:コーヒー焙煎度の違いを理解
この記事で解説した、コーヒー焙煎度の違いに関する要点をまとめます。これらのポイントを押さえることで、あなたのコーヒー選びがより簡単で、楽しいものになるはずです。
- コーヒーの味は焙煎度の違いで大きく変わる
- 焙煎度は一般的に8段階のランクに分けられる
- 浅煎りはライト、シナモン、ミディアム、ハイローストを含む
- 深煎りはシティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンローストを含む
- 焙煎が浅いほど酸味が強く、深いほど苦味が強くなる
- 焙煎 種類 苦い順はイタリアンローストが頂点
- 焙煎の色見本や焙煎指数の計算で焙煎度を管理できる
- 浅煎りコーヒーがまずいと感じるのは酸化や焙煎失敗(生焼け)が原因の可能性
- 美味しい浅煎りは豆本来のフルーティーな酸味と甘さがある
- 産地の個性を活かすために最適な焙煎度を選ぶ
- 焙煎方法には直火式、熱風式、半熱風式があり味が変わる
- ハゼ度合(1ハゼ・2ハゼ)は焙煎の進行を知る重要な目安
- 深煎りか浅煎りかどっちがいいかは個人の好み次第
- 初心者への焙煎度合いおすすめはバランスの良いハイローストかシティロースト
- 焙煎とコーヒー豆の選び方は「好みの味」と「飲み方」で決める
- 焙煎を自宅で行う方法には手網やフライパンがある
- 自宅焙煎はチャフ(薄皮)と煙に十分な注意が必要