

- スーパーの粉は「中細挽き」なのでフレンチプレスには不向き
- 金属フィルターにはザラメ状の「粗挽き」が必須
- 最初は「中深煎り」を選ぶと失敗が少ない
- 通販なら「挽き具合」を指定できるお店がおすすめ
フレンチプレスを購入し、ワクワクしながらスーパーで買ってきたコーヒー粉で淹れてみたものの、「なんだか泥みたいに粉っぽい」「お店で飲んだ時のようなクリアな美味しさがない」とガッカリした経験はありませんか?
実は、その失敗の9割は「豆の挽き方(粒度)」の選択ミスにあります。フレンチプレスは、ハンドドリップなど他の器具とは全く異なる「専用の豆」を選ばなければ、どれだけ高級な豆を使っても本来の美味しさを引き出すことができません。
今回は、コーヒー器具を100以上試してきた私が、フレンチプレスで失敗しないための「豆の選び方」と「おすすめのコーヒー豆」を、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。この記事を読めば、明日からご自宅で「お店レベル」のコーヒーを楽しめるようになりますよ。
フレンチプレスの豆は「挽き方」で決まる!スーパーの粉がNGな理由

【Project 369】
なぜ「スーパーのコーヒー粉」では美味しくないのか?
結論から申し上げますと、スーパーやコンビニで一般的に売られている「レギュラーコーヒー(粉)」は、フレンチプレスには使用しない方が賢明です。
なぜなら、市販されている袋入りの粉のほとんどは、ペーパーフィルター(ハンドドリップ)やコーヒーメーカー用に挽かれた「中細挽き」だからです。フレンチプレスのフィルターは金属製のメッシュ構造になっており、ペーパーフィルターに比べて目が粗く作られています。そのため、「中細挽き」のような細かい粉を使ってしまうと、フィルターの目をすり抜けてカップに入り込み、飲んだ時にザラつきを感じる「粉っぽい」コーヒーになってしまうのです。
例えば、水切りネットで「砂」を受け止めようとしても、隙間からこぼれ落ちてしまいますよね。フレンチプレスにおける「中細挽き」の粉は、まさにこの状態です。さらに、細かい粉はお湯に触れる表面積が大きすぎるため、フレンチプレスの抽出時間(約4分)では成分が出すぎてしまい、「過抽出」と呼ばれる渋みやエグみの原因にもなります。
「でも、手軽に買えるスーパーの粉で淹れられたら便利なのに」と思われるかもしれません。確かに手軽さは魅力ですが、フレンチプレス最大の魅力である「豆の油分(コーヒーオイル)ごと楽しむ濃厚な味わい」を泥のような食感で台無しにしてしまっては本末転倒です。美味しいコーヒーを飲むためには、ここだけは妥協せず、器具に合った挽き方を選ぶことが重要です。
フレンチプレスには絶対に「粗挽き」を選ぶべき理由
では、どのような豆を選べば良いのでしょうか。正解は、ザラメ糖や岩塩くらいの大きさである「粗挽き(あらびき)」一択です。
その理由は、フレンチプレスが「浸漬式(しんししき)」という、お湯に豆を4分間じっくり浸して味を引き出す抽出方法だからです。じっくり時間をかける分、豆の粒を大きく(粗く)しておかないと、余計な雑味までお湯に溶け出してしまいます。「粗挽き」にすることで、お湯に触れる表面積を適度に抑え、4分待っても雑味が出ず、豆本来の甘みと旨味だけをじっくり引き出すことができるのです。
具体的には、粗挽きの豆で淹れたフレンチプレスコーヒーは、紅茶のように透き通った色合いでありながら、飲んでみるとしっかりとしたコクがある、非常にまろやかな味になります。ペーパードリップしか飲んだことがない方が初めてこの味を知ると、「コーヒーってこんなに甘かったの?」と驚かれることも少なくありません。
もちろん、「粗挽きだと味が薄くなるのでは?」と心配される方もいるでしょう。確かにサッと通すだけなら薄くなりますが、フレンチプレスは「4分間」という長い時間をかけて抽出するため、粗挽きでも十分に成分が溶け出します。むしろ、このバランスこそがフレンチプレスの黄金比なのです。美味しいフレンチプレスを楽しむための絶対条件、それが「粗挽き」です。
豆の「焙煎度(ロースト)」はどう選ぶ?
挽き方が決まったら、次は「焙煎度(ロースト)」を選びましょう。フレンチプレスは豆の個性がダイレクトに出る器具なので、焙煎度の違いが味に大きく影響します。
基本的には、「深煎り(フレンチローストなど)」か「中深煎り(シティローストなど)」を選ぶのがおすすめです。フレンチプレス特有のコーヒーオイルは、深煎りの豆ほど多く含まれています。スターバックスのようなガツンとした苦味とコク、そしてミルクを入れても負けない力強さを求めるなら、迷わず深煎りを選んでください。
一方で、最近流行りの「スペシャリティコーヒー」のような、果実味あふれる酸味を楽しみたい場合は、「浅煎り」や「中煎り」も選択肢に入ります。フレンチプレスで淹れる浅煎りは、まるでハーブティーのような華やかな香りを楽しめます。
ただ、初めてフレンチプレスを使う方がいきなり浅煎りを選ぶと、「酸っぱすぎる」と感じてしまうリスクもあります。まずは、多くの人が「コーヒーらしい」と感じる「中深煎り~深煎り」からスタートし、器具の扱いに慣れてから好みの焙煎度を探っていくのが、失敗しないための近道です。
【通販で買える】フレンチプレスにおすすめのコーヒー豆3選
「粗挽きが良いのはわかったけど、近所のお店には売っていない…」という方も多いはずです。実は、スーパーでは粗挽きの豆はほとんど取り扱われていません。
そこで、ネット通販で手軽に購入でき、かつ「粗挽き」のオーダーができたり、フレンチプレスに相性抜群の豆を3つ厳選しました。

【Project 369】
おすすめ1:スターバックス コーヒー豆
「お店で飲むあの味を家でも再現したい」という方には、やはりスターバックスの豆が鉄板です。
スタバの豆は全体的に深煎りのラインナップが多く、フレンチプレスで抽出することで、その濃厚なコクと苦味を最大限に楽しむことができます。特に「カフェベロナ」や「スマトラ」といった銘柄は、どっしりとしたボディ感があり、フレンチプレスのオイル感と相性抜群です。
Amazonや楽天でも購入できますが、通販の場合は「豆のまま」売られていることが多いです。ご自宅にミル(豆を挽く道具)がない場合は、スタバの店舗で購入する際に「フレンチプレス用に粗挽きにしてください」とお願いするか、ミル付きのセットを検討してみてください。
おすすめ2:澤井珈琲(粗挽き指定可能)
「コスパ良く、毎日ガブガブ飲みたい」という方には、楽天市場などで絶大な人気を誇る澤井珈琲がおすすめです。
ここの最大の特徴は、注文時に「挽き方」を細かく指定できる点です。プルダウンメニューから「粗挽き」を選ぶだけで、フレンチプレスに最適な状態で届けてくれます。スーパーで買うのと変わらない、あるいはそれ以上の安さでありながら、注文後に焙煎してくれるため鮮度も抜群です。
「やくもブレンド」など、日本人の口に合うマイルドな味わいの豆が多く、フレンチプレス初心者でも飲みやすいのが魅力です。届いて袋を開けた瞬間の香りの良さは、スーパーの粉とは段違いですよ。
おすすめ3:加藤珈琲店(ゴールデンブレンド)
「酸味と苦味のバランスが良い、失敗しない豆がいい」という方には、加藤珈琲店の「ゴールデンブレンド」を推します。
スペシャルティコーヒーの要素を取り入れた高品質な豆を使用しており、フレンチプレスで淹れると、雑味のないクリアな甘みが際立ちます。深すぎず浅すぎない絶妙な焙煎度なので、「苦すぎるのは苦手だけど、酸っぱいのも嫌」というワガママな要望にもしっかり応えてくれます。
こちらも注文時に挽き具合を選べるので、必ず「粗挽き」を指定してください。休日の朝、ちょっと贅沢な気分でパンと合わせたくなる、そんな品のある味わいです。
フレンチプレスの豆の選び方まとめ
美味しいフレンチプレスを楽しむための3つの鉄則
- スーパーの粉(中細挽き)は使わない。
- ザラメ状の「粗挽き」を選ぶことが最重要。
- 最初は「深煎り」か「中深煎り」から試してみる。
フレンチプレスは、器具による味のブレが少ない優秀なツールです。だからこそ、「豆の選び方」さえ間違えなければ、誰でもプロのような一杯を淹れることができます。ぜひこの週末は、粗挽きの豆を用意して、極上のコーヒータイムを楽しんでくださいね。
