


私はECAM22020Wを実際にレンタルして14日間使い倒しました。手動のミルクフロッサーで何十杯もカプチーノを作った、その実感からお話しします。ECAM22062とECAM22080GBは手元にありませんので、こちらは公式仕様とマニュアルを読み比べた専門家としての分析・解説です。どこまでが実物で、どこからが分析かは、そのつど書きます。
- マグニフィカスタートにはECAM22020/ECAM22062/ECAM22080GBの3型番がある。違いは、ほぼ「ミルクを自分で泡立てるか、機械にやらせるか」だけ。
- 本体サイズ・重さ・ポンプ圧・ウォーターフィルターは3機種とも同じ。抽出の実力は変わりません。
- ただしECAM22062にはスペシャルティメニューが無い。浅煎り豆を飲む人は、高いほうを買うと機能を失います。
- カプチーノを毎日飲まないなら、手動のECAM22020で十分。差額は約1万円です。
マグニフィカスタートのミルク機能、手動と自動の決定的な違い
マグニフィカスタートという名前の下には、3つの型番があります。まずはここを整理しましょう。
ECAM22020・ECAM22062・ECAM22080GBの早見表
| ECAM22020B/W | ECAM22062B/W | ECAM22080GB | |
|---|---|---|---|
| ミルクの泡立て | 手動(ミルクフロッサー) | 自動(ラテクレマシステム) | 自動(ラテクレマシステム) |
| コーヒーメニュー | 全3メニュー エスプレッソ/カフェ・ジャポーネ/スペシャルティ |
全4メニュー エスプレッソ/カフェ・ジャポーネ/カプチーノほか (スペシャルティは非搭載) |
全5メニュー エスプレッソ/スペシャルティ/カプチーノ/ラテマキアートほか |
| 実売価格 | 約84,000円 | 約94,800円 | 約113,455円 |
価格はいずれも2026年8月時点のAmazonでの調査値です。メーカー希望小売価格とは開きがあり、時期によっても動きます。購入前に必ず現在価格を確認してください。

本体サイズも重さもポンプ圧も、3機種とも同じ
ここが意外と知られていません。ECAM22020の取扱説明書に載っている仕様は、幅240×奥行440×高さ350mm、重さ9.5kg、消費電力1450W、ポンプ圧15気圧、コーン式グラインダー。水タンク1.8L、豆ホッパー250g。ウォーターフィルターの標準付属も含めて、3機種すべて共通です。
付属品も充実しています。計量スプーン、コーヒーマシン用除石灰剤、水硬度チェッカー、クリーニングブラシ、ウォーターフィルター。買ってすぐ使い始められて、最初のメンテナンスまで箱の中で完結します。
つまり「上位機種のほうが場所を取る」「上位機種のほうが本格的に抽出できる」といった心配は要りません。コーヒーそのものの実力に差はない、と考えてよいでしょう。
設置スペースについては、奥行44cmという数字がキッチンカウンターでどう効いてくるかが問題になります。手前にせり出す圧迫感は数字以上。ほぼ同寸のマグニフィカSで実寸を測った記事があるので、購入前に一度読んでおいてください。マグニフィカSは奥行43cmでも設置には45cm必要になると実寸で検証しています。
違うのは、ミルクとメニューだけ
共通部分を引き算していくと、残るのは2つ。ミルクを自動で泡立てるかどうか。そして、どのコーヒーメニューが載っているか。判断すべきことは、実はこれだけです。

比較軸1:手動フロッサーで実際にやること
カタログには「手動」としか書かれていません。でも読者が知りたいのは、その手動が朝の何分を奪うのかでしょう。取扱説明書の手順と、14日間やってみた実感の両方で書きます。
先に確認しておきたいことがあります。手動だからミルクメニューが作れない、わけではありません。取扱説明書にも、エスプレッソにフォームミルクを加えればカプチーノ、泡のないスチームミルクを加えればカフェラテが作れると明記されています。手動のECAM22020でも、ミルクメニューそのものは作れるのです。

牛乳はジャグの半分まで。そこからが本番
手順そのものは難しくありません。取扱説明書に書かれている流れは、こうです。
まず牛乳をミルクジャグに入れる。ここで守るのは一点だけで、ジャグの容量の半分以上は入れないこと。泡立てるとかさが増えるからです。
次にミルクフロッサーの下に空のカップを置き、スチームボタンを押します。ランプが高速点滅したらスチームノブを開き、3〜5秒後に閉じる。これはフロッサー内にたまった水分を捨てる空ぶかしで、省くと泡に水が混じります。
それからフロッサーを外側に向けて、先端が牛乳に浸かる程度にジャグを差し込む。もう一度ボタンを押し、ランプが高速点滅したらスチームノブを開いて泡立てます。

説明書のコツは「泡と牛乳の境目を探すイメージ」という一文。実際にやってみると、この表現がかなり正確でした。深すぎると泡にならず、浅すぎると粗い泡が飛び散ります。
やめどきは、ジャグの側面が触れられないくらい熱くなったとき。60〜65℃が目安と説明書にも明記されています。ここを超えるとミルクの甘みが飛びます。
注意点がひとつ。スチームを止める前にミルクジャグを外してはいけません。やけどの原因になります。泡ができたらフロッサーを差し込んだままノブを閉じる、という順番です。
最後にジャグをテーブルにトントンと当てて粗い泡を潰せば、きめ細かい泡のできあがり。ここまでで、慣れれば1分半といったところです。

写真は実際にこの手順で作ったカプチーノです。手動でもこの泡は出せます。
泡立たないときは、たいてい牛乳のせい
最初の数日、私も泡が立たずに首をかしげました。原因はマシンではなく牛乳の乳脂肪分だったというのが結論です。同じ現象はマグニフィカSでも起きるので、対処法をまとめてあります。泡立たない原因は乳脂肪分の低さにあり、スチームの当て方より牛乳選びが先です。


ラテクレマシステムが自動化しているのは、どこか
ECAM22062とECAM22080GBが積んでいる「ラテクレマシステム」は、上で書いた工程をまるごと肩代わりします。ミルクがいちばん甘く感じられる60〜65℃の温度帯で抽出し、ミルクと泡の比率を自動的に作る仕組みです。
買っているのは時間だけではありません。失敗しない再現性を買っています。手動は上達しますが、上達するまでは日によってムラが出ます。そのムラが許せない人には、自動の価値があります。
比較軸2:価格差1万円と、見落とされがちなメニューの違い
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
差額は約1万円。3万円ではありません
メーカー希望小売価格だけを見ると、ECAM22020が97,800円、ECAM22062が128,000円で、3万円以上の開きがあります。ところが実売はまったく違いました。2026年8月時点のAmazonで、ECAM22020が84,000円、ECAM22062が94,800円。差は約10,800円です。
3万円なら「手動で我慢しよう」となる人も、1万円なら考えが変わるかもしれません。逆に言えば、希望小売価格を見て諦めていた人は、もう一度計算し直す価値があります。
ちなみに同じ型番でも、モールによって価格はかなり違いました。デロンギ公式の楽天市場店とYahoo!ショッピング店はどちらも97,800円で、Amazonのほうが13,800円安いという状態です。ただし楽天とYahoo!はポイント還元が乗るので、実質いくらになるかは還元率しだい。3モールとも見てから決めるのが確実です。
ECAM22062を選ぶと、スペシャルティメニューを失う
そして、ここが最大の落とし穴。
ECAM22020には「スペシャルティ」というメニューがあります。取扱説明書の説明では、フルーティーなライトコーヒーで、豆の産地特徴を最大限に表現し、すっきりした繊細な味わいを演出するモード。サードウェーブ系の浅煎り豆を飲む人には、これが効きます。
しかも抽出量が細かく決められます。スペシャルティは初期設定180mLで、100〜240mLの範囲で調整可能。エスプレッソは1杯30mLが初期設定で、20〜180mLまで動かせます。マグカップにたっぷり派も、小さいカップで濃く派も、どちらも設定で吸収できるということです。
ところがECAM22062には、このスペシャルティが載っていません。全4メニューと書かれているので数だけは多く見えますが、その中身はエスプレッソ、カフェ・ジャポーネ、カプチーノなど。スペシャルティは入っていないのです。
値段が高いほうが機能も多い。その思い込みで選ぶと、浅煎り好きの人ほど後悔します。
カフェ・ジャポーネはECAM22020にもECAM22062にもある
安心してよいのは、日本人向けに開発された「カフェ・ジャポーネ」がECAM22020にもECAM22062にも載っていること。取扱説明書の言葉を借りれば「深蒸しレギュラーコーヒー機能」で、豆をハンドドリップしたように蒸らしながら抽出します。こちらも初期設定180mL、100〜240mLで調整可能。ただしスペシャルティとカフェ・ジャポーネは1杯抽出専用で、2杯同時に淹れられるのはエスプレッソだけです。この機能の中身については別記事で詳しく書いています。カフェジャポーネが深蒸しのレギュラーコーヒーになる仕組みを解説しています。
ECAM22020BとECAM22020Wの違いは、本体カラーだけ
型番の末尾のBとWで迷っている人へ。Bはブラック、Wはホワイト。機能はまったく同じです。
価格も同じでした。2026年8月時点で、Amazonではどちらも84,000円。デロンギ公式の楽天市場店とYahoo!ショッピング店でも、両色とも97,800円で並んでいます。色で値段が変わらないので、純粋にキッチンに合うほうを選んでください。
なお最上位のECAM22080GBだけは、ラテマキアートまでワンタッチで作れます。ミルクの比率が違う複数のレシピを再現したい人向け。ただし価格帯が上がるので、まずはECAM22020とECAM22062のどちらかで足りるかを考えるのが順番です。

マグニフィカスタートの型番選びでよくある質問
あとから自動ミルクの機種に買い替えられますか?
ミルク機構は本体に組み込まれているので、後付けはできません。買い替えになります。とはいえマグニフィカスタートは中古市場でも動きのある機種なので、手動で試してから判断するという順番も現実的です。
手動フロッサーで豆乳やオーツミルクは泡立ちますか?
泡立ちます。ただし牛乳と同じようにはいきません。植物性ミルクは種類によって泡の持ちが変わるので、バリスタ用と書かれたものを選ぶと安定しやすいでしょう。
ウォーターフィルターは3機種とも付いてきますか?
付いてきます。ECAM22020の付属品は、計量スプーン・除石灰剤・水硬度チェッカー・クリーニングブラシ・ウォーターフィルターの5点。水道水の塩素を除いて風味を上げるだけでなく、内部の石灰付着を予防する役割があります。使い始めるときのエア抜きを省くと、ポンプの音だけ鳴ってコーヒーが出ないという初期トラブルにつながるので、そこだけは説明書どおりに。
保証は何年ですか?
デロンギ・ファミリーに製品登録すると、通常1年の保証が3年に延長されます。ただし購入日から6ヶ月以内の登録が条件。さらに修理を依頼するときに、登録済みであることを自分から申告しないと有償扱いになることがあります。買ったらすぐ登録、が正解です。
並行輸入品は安いですが大丈夫ですか?
おすすめしません。国内の正規サポートが受けられず、有償修理や部品取り寄せも断られる可能性があります。電圧仕様の違いによる故障リスクもあるため、数万円の差で数年の安心を手放す取引になりがちです。
ECAM22020(手動フロッサー)を選ぶべき人
次のどれかに当てはまるなら、手動で十分です。
- 飲むのはブラックコーヒーが中心で、カプチーノは週に数回あるかどうか
- 浅煎りのスペシャルティコーヒーを楽しみたい(これはECAM22020にしか無い機能です)
- 泡立てる作業そのものを、朝の楽しみにできる
- 初期費用をできるだけ抑えて、まず全自動マシンの生活を試してみたい
私自身が14日間使った実感でも、ブラック中心の飲み方ならフロッサーの出番は多くありませんでした。使わない機能に1万円を払う必要はありません。
ECAM22062(ラテクレマ)を選ぶべき人
逆に、こちらに当てはまるなら迷わず自動を。
- カプチーノやカフェラテを、ほぼ毎日飲む
- 朝の1分半を、お金で買いたい
- 泡立ての練習をする気がまったくない
- 家族も使うので、誰が淹れても同じ味になってほしい
最後の項目は見落とされがちですが、けっこう効きます。手動は結局、淹れる人の腕に依存しますから。
ただし繰り返しになります。ECAM22062を選ぶとスペシャルティメニューは無くなります。浅煎りも飲みたいしカプチーノも自動がいい、という欲張りな人は、ECAM22080GBまで視野に入れることになります。


まとめ:マグニフィカスタートの型番選びは「ミルクを自分で泡立てるか」で解決
- 3型番の違いは、ほぼミルクの自動化だけ。サイズも重さもポンプ圧も共通で、抽出の実力に差はありません。
- 実売の差額は約10,800円(2026年8月時点のAmazon)。希望小売価格の3万円差ではありません。
- ECAM22062にはスペシャルティメニューが無い。浅煎りを飲む人は、高いほうを買うと機能を失います。
- カプチーノを毎日飲まないならECAM22020。毎日飲むならECAM22062。判断軸はそこだけです。
迷ったらECAM22020から始めてください。手動のフロッサーは面倒ではありますが、覚えられない作業ではありません。使ってみて「毎朝これは無理だ」と思ったら、そのとき買い替えを考えればいい話です。
ECAM22020B/ECAM22020W(手動フロッサー・スペシャルティ搭載)
ECAM22062B(ラテクレマ搭載・自動ミルク)
ECAM22020Wを14日間レンタルして毎日淹れた記録は、別記事にまとめてあります。味、稼働音、設置してみた実感まで、買う前に知っておきたかったことを正直に書きました。ECAM22020Wを14日間使って分かった実力と、事前に知りたかった注意点はこちらです。
また、そもそもマグニフィカSやマグニフィカSスマートとスタートで迷っている場合は、比較する軸が変わります。機種ファミリーをまたいだ選び方は診断形式でまとめました。マグニフィカS・スマート・スタートの3機種でどれが自分に合うかを診断できます。
